子どものころ、ガラスケースの中に並んだ日本人形に、なんとなく「怖い」と感じたことはありませんか?
表情のない顔、動かないはずの瞳、そして――気づけば“少し髪が長くなっている気がする”。
まさかそんなこと……。
けれど実際に、髪が伸びるといわれる人形が日本に存在しているのです。
その名も「お菊人形」。
いまも北海道のとあるお寺に安置されており、その髪は今もなお、肩まで伸びているといいます
一体なぜ、人形の髪が伸びるのか?
それは呪いなのか、科学なのか、それとも――本当に、“生きて”いるのか?
科学で説明できる?それとも呪い?
お菊人形の正体
「お菊人形」は、もともと1918年ごろ、札幌に住んでいた少女・菊子ちゃんが可愛がっていた市松人形。
菊子ちゃんが病で早逝したあと、遺族が人形を萬念寺に奉納。
その後、不思議なことに断髪していたはずの人形の髪が徐々に伸び始めたのです。
現在もお寺で安置され、誰でも拝観可能ですが、その髪は肩を超えるほどの長さになっているといいます。
髪が伸びるのは本当か?科学的な仮説たち

この現象に対して、科学者たちはさまざまな仮説を立ててきました。
- 湿気と温度の変化による膨張・収縮の錯覚
人毛は湿度で微妙に変化します。湿気を含んで広がった髪が「伸びた」ように見えることも。 - 髪が“落ちて広がる”ことで長く見える
人形の頭髪が固定されていない場合、重力や振動で垂れ下がり、伸びたように感じることがあります。 - 髪が実は本物の人毛
お菊人形の毛髪は実際に調査されたことがあり、「人間の髪の構造と一致した」と報告されています。
だとすれば、湿度などの影響を受けやすいのは当然かもしれません。
それでも、なぜ切っても伸びるのか?
誰もいじっていないはずなのに、長さが変わるのはなぜなのか?
そんな疑問が、科学だけでは解き明かせない“不気味さ”を生んでいるのです。
それでも残る、「生きている」説
科学的な説明があるとはいえ、やはりすべての謎が解明されたわけではありません。
実際、萬念寺の住職は「定期的に髪を切っている」と証言しています。
まるで髪が“自然に”伸びてくるかのように。
また、ある時期を境に**「切っても翌日には元の長さに戻っていた」という噂**まで流れました。
寺の人も触れていないはずなのに、髪が戻っていた――そんな怪談めいた話も。
そして、恐ろしい説が残ります。
「この人形には、亡くなった少女の魂が宿っている」というものです。
想いを託された人形は、時として“生き物”のような存在になる。
日本には、古くなった人形を「供養」する文化があるように、人形はただのモノではありません。
それは、形を借りた記憶であり、感情であり、時には――命そのものなのかもしれません。
おわりに
科学で説明できることも、できないことも、どちらも存在しています。
お菊人形の髪が伸びる理由。
それは、湿度のせいかもしれませんし、誰かの“気配”かもしれません。
でももし、あなたの家に古い人形があって、ふと「髪が……伸びてる?」と思ったときは。
ほんの少しだけ――その人形の目と、目が合わないようにしてください。
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